・「立原道造詩集」 ◇ハルキ文庫


裸の小鳥と月あかり
郵便切手とうろこ雲
引出しの中にかたつむり
影の上にはふうりんさう


太陽と彼の帆前船
黒ん坊と彼の洋燈
昔の絵の中に薔薇の花


僕は ひとりで
夜が ひろがる



『日曜日』 唄

リルケときて。リルケを愛した立原道造の詩集をようやく購入しました。代表作以外の作品がまた素晴らしく、驚く(手製詩集『さふらん』や『日曜日』)。そして興味を持ち、彼の生涯を知ってからその詩を読むと、あまりに深い感銘を受けた。こんな衝撃は安吾以来かも。


・「山口瞳[男性自身]傑作選 熟年編」 著・山口瞳 編・嵐山光三郎


 私にできないことは、まだまだ、無限にあるはずである。もっと、基本的かつ滑稽になるものがあるのである。
 そう思って、書きはじめた。しかし、無限にあるはずの滑稽なる不可能事を、どうしても思いだすことが出来ない。



『出来ない』

山口瞳の「江分利満氏の優雅な生活」は男性諸君のバイブルとなるべく本だと思う。これはサントリーのコピーライターから直木賞受賞作家となった山口瞳の身辺雑記。「出来ない」は素晴らしいと思う、アッパレ。深く感銘を受ける。