2005-01-24 太宰浪漫譚 彼の声は世界を変える。 それだけですべてを呼び戻すのだから。 「それは恋ではないのか?」 「恋である筈がないだろう。」 「まあ、太宰も男色を題材としているから、おかしくはないね。」 「いや、違う。そうではないのだ。彼には何ともいえぬ魅力があるのだ。」 これは太宰治に憧れる青年の物語だ。 しかし、僕はその当人ではない。 太宰に憧れる彼に、また、憧れる男だ。 彼、伊倉草蔵は不思議な魅力を持つ男であった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・