1000の小説とバックベアード

1000の小説とバックベアード

僕は「片説家」。「小説」と違って、個人のリクエストで、その人のためだけに物語を書くのが仕事だ。いや「片説家」だった。昨日、解雇されたのだ。途方に暮れる僕の前に、自分のために「小説」を書いて欲しいという女性が現れた。しかも、失踪しているという彼女の妹は、かつて僕がいた会社が、片説を渡した相手だという
最近、室生犀星を読んでいて。仕事中渡されたゲラに目を通すとその名をみつけ、ん。 と思えば、室生「屑」星。拠りによって「くず」って。大作家捕まえて屑 - くず - とは中々やりますな。赤入れして返却すると、その文章を入力したらしい男の子がデータ入力に困ったらしく、「何て読むんですか?」と尋ねに来たので、「さい、ですよ。むろうさいせいですよ。」と教えてあげた。室生もかわいそう也。室生犀星ほどの人でも名を残せないのだね。

そんな小説でした(ん?)。そういえば本文中にも犀星の名が出てくる。しかし、森茉莉は苦手だ。

実際の読書感想は、主人公に魅力を感じられないとやはり作品自体を冷めた目でみてしまう。面白いコールと面白くないコールが交互に振れる脳内メトロノーム。最後は、、、〆。途中、伊坂幸太郎の『オーデュボンの祈り』の様に安部公房を彷彿させるものかな、と少し期待を寄せたけども ム そうは問屋が卸さなーい! 3つともシュール。しかし現代作家さんぽいですよね。

安部公房の作品では、脛にカイワレ大根が生えた男がベッドで運ばれて行くお話が好きです。読んだのは多分、18の頃で結構衝撃でした。ああ、今安部公房を読み替えしてもいいかも、と思う。