何故かセクシャルマイノリティを演じることが多いジョセフ・チャンですが(台湾の青春映画に男女問わず同性愛を描いたものが多い気がするのは何故だろう)台湾の好きな俳優です。

台湾映画に惹かれるそれは、ストーリー云々より映像→風景。そんな台湾の風景が好評で、観たかった『午後3時の初恋』を購入。このDVDは台湾映画を2本収録したお得シリーズ。本編は、時間も短く深みがあるストーリーでもないが、小気味はいい。そして何より音楽と音の使い方がヒット。古い町並みを描きながらファッションやインテリア、小物はキュートで洒落てる。映像は期待通り。風景だけでなく光の加減も。ほのかにキラキラと。映画というよりドラマみたいな撮り方もまたいい。台湾の田舎町に煌めく緑の原風景を抜けて電車が辿り着く。

田舎町の古色蒼然とした時計店をチンチンは酒浸りの父親に代わりに切り盛り。滅多に客が訪れない店にズーハンと名乗る青年が水に濡れた時計を持ってくる。眼鏡をかけた内向的なズーハンは以来、日が傾きかけた午後にやって来る。「僕たちは高校の同級生だった」と告げ、高校時代のチンチンの日課を細かに記憶しているズーハン。少しずつ彼に惹かれていくチンチンだったが、一緒に川に行った日、ズーハンは別人のように変化する。

ある種の青春映画。原題は『沈睡的青春(Keeping Watch)』。古い田舎町、古びた時計店、差し込む暖かな午後の光。ジョセフ演じるズーハンはボーユイという面を持ち、二重人格…?と思わせる描写。しかしそこに秘められているものはもっと悲しい。誰もが失われたものを求める、儚くも眩しい物語。止まった「時」は動きだすのか? ラストに向けてはすごく身勝手な2人だな、って思うんですけどね(院長らに見つかった辺りから)。時計屋の瞳が零れそうなほど大きい美少女チンチンを演じる、クォ・ビーティンがバンビのようで可愛い。